朱雀会の就業規則Q&A|就業規則の記載内容について説明しています。

就業規則の具体的な記載内容はどのようなものか?

就業規則の具体的な記載内容はどのようなものか?


【絶対的必要記載事項】

始業及び終業の時刻

  • 「始業及び終業の時刻」とは、その事業場の所定労働時間の開始時刻および終了時刻をいいます。
  • たとえば、「労働時間は1日8時間とする。」というような規定だけでは労働基準法違反となります。
  • 日勤や交替勤務等の勤務形態、または職種に応じて始業・終業の時刻が異なる場合には、それぞれについて始業・終業の時刻を定めなければなりません。
  • パートタイム労働者などのうち本人の希望などによって、始業・終業の時刻を画一的に定めないこととする者については、基本となる始業・終業の時刻を定めたうえで、具体的には個別の労働契約などで定める旨の委任規定を設けることでよいとされています(昭63.3.14基発150、平11.3.31基発168)。

休憩時間

  • 「休憩時間」については、休憩時間の長さ、一斉か交替かといった休憩時間の与え方などについて具体的に定めなければなりません。

休 日

  • 「休日」については、休日の日数、「1週2回または土・日曜」などといった休日の与え方
  • 労働条件を明示する観点および休日労働の割増賃金の計算を簡便にする観点から、事業場が週休2日制を採っている場合などの休日について法定休日と所定休日の別を明確にしておくことが望ましいとされています(平21.5.29基発0529001)。
  • ※法定休日と所定休日の別を明確にしておくことが望ましいのであって、強制はされていません。
  • 休日の振替または代休の制度を設けるときは、それらの制度について具体的に記載しなければなりません。

休 暇

  • 「休暇」については、法で与えることが義務づけられている年次有給休暇、産前産後の休暇、生理日の休暇の与え方のほか、夏休み、年末年始休暇、慶弔休暇など使用者が与える法定外の休暇がある場合には、それも定める必要があります。
  • 育児・介護休業法による育児休業・介護休業についてもここにいう休暇に含まれると解されるので、育児休業の付与要件、手続、期間などについて就業規則に定める必要があります(平3.12.20基発712、平11.3.31基発168)。さらに、子の看護休暇・介護休暇についても同様に就業規則に定める必要があります。
  • 1ヶ月に60時間を超えて時間外労働を行った場合に、割増賃金の支払の代わりに、有給休暇が付与できる制度(代替休暇制度)が新たに設けられ、この制度を採用する場合には、代替休暇の単位、その時間数の算定方法、休暇が取得できる期間、取得手続きなどについて就業規則に定める必要があります。
  • 時間単位の年次有給休暇制度を導入している場合、労働者の範囲、日数、取得単位の時間数などについて規定する必要があります。
  • 雇用する労働者が裁判員候補者、裁判員、補充裁判員として選ばれた場合には、労働基準法第7条の公民権行使の保障として必要な時間を与えなければなりません。これらの職務に関する休暇については、有給・無給を含め就業規則に規定するか、別規則としてより体系的に裁判員規程を定める方法があります。

就業時転換に関する事項

  • 「就業時転換に関する事項」とは、労働者を2組以上に分けて交替就業させる場合の交替期日、交替順序などに関することをいいます。

賃金の決定、計算及び支払の方法

  • 「賃金の決定、計算及び支払の方法」とは、賃金額や賃金ベースそのもののことではなく、年齢、学歴、技能などの賃金決定の要素あるいは賃金体系など賃金の決定に関することや計算の方法、月給制、日給制、出来高払制など支払の方法をいいます。
  • 時間外労働や休日労働の割増賃金の割増率について規定しますが、特に法定の割増率以上の特別の割増率を定める場合にはその割増率を規定します。
  • 賃金の振込払いの制度を採っている場合にはその方法、手続など、あるいは、賃金の端数計算処理を行っている場合にはその方法を定めなければなりません。

昇給に関する事項

  • 「昇給に関する事項」とは、昇給期間、昇給時期、昇給率、その他の昇給条件などをいいます。

退職に関する事項(解雇の事由を含む)

  • 「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」とは、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職など労働者が雇用契約上の身分を失うすべての場合に関する事項をいいます。
  • 「(解雇の事由を含む)」は、平成15年7月の法改正(平成16年1月1日施行)により、追加された部分です。これにより、就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合はこの法令に違反することになります。

【相対的必要記載事項】

退職手当

  • 退職手当(退職金)制度は必ずしも設けなければならないものではないが、設ける場合には、次のものを定めなければなりません。
    • ①適用される労働者の範囲
    • ②退職手当の決定、計算および支払の方法
    • ③退職手当の支払の時期
  • ②の「退職手当の決定、計算および支払の方法」とは、たとえば、手当額を決定する要素である勤続年数、退職事由などや手当額の算定方法、一時金か年金あるいはその併用などといった支払方法のことをいいます。
  • 退職手当について、懲戒解雇などの場合には不支給としたり、減額したりすることがありますが、そのような場合も就業規則に記載しておかねばなりません。

臨時の賃金等

  • 「臨時の賃金等」とは、賞与や1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当などがあります。
  • これらについては、その支給条件、計算方法、支給期日などを記載しなければなりませんが、賞与については、それが制度されている場合には、支給額はともかくとしても、少なくとも支給条件、計算方法、時期などについては記載する必要があります。

その他の負担

  • 「その他の負担」とは、社宅費など労働契約によって労働者に経済的な負担を課す場合をいい、負担の内容、金額等について記載することになります。

安全及び衛生に関する定め

  • 「安全及び衛生に関する」事項としては、労働安全衛生法、労働安全衛生規則など労働災害の防止、健康の確保等に関する法令に定められている事項のうち、その事業場の設備、作業内容などから特に必要とされるものやこれら法令に定められていないものでも、その事業場の安全衛生の保持のために必要な事項をいいます。

職業訓練に関する定め

  • 「職業訓練に関する」事項としては、行政解釈によれば、次のようなものとされています(昭44.11.24基発776)。
    • ①行うべき職業訓練の種類
    • ②訓練に係る職種等訓練の内容
    • ③訓練期間
    • ④訓練を受けることができる者の資格など
    • ⑤職業訓練中の労働者に対し特別の権利義務を設定する場合には、それに関する事項
    • ⑥訓練修了者に対し特別の処遇をする場合には、それに関する事項など

災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定め

  • 災害補償については、労災保険法による給付などを上回る補償を行うとした場合に記載することになります。
  • 業務外のケガや病気については、健康保険法または厚生年金保険法に定められているので、ここでは給付以外の扶助などを行う場合に記載することになります。

表彰及び制裁

  • 「表彰」の定めを実施する場合には、その種類および程度に関する事項を記載しなければなりません。
  • 「制裁」について、譴責、戒告、減給、出勤停止、降格、昇給・昇格の停止、懲戒解雇などがあります。
譴責・戒告懲戒処分では最も軽い処分で、一般に始末書を提出させ、将来を戒めるもの
減給いわゆる秩序罰で、支払われるべき賃金の額から一定額を差し引くことをいうが、制限がある
出勤停止一定期間について出勤を停止するもの。出勤停止期間中は労働していないことから、結果的に賃金は支払われず、また、通常、勤続年数にも算入されない。また、懲戒解雇の可否等を調査するための前置的措置としての出勤停止もある。
昇給・昇格の停止一定の基準・要件等を満たした場合に行われる昇給・昇格を行わないもの
降格懲戒として役職や職能資格を引き下げることをいうが、これに伴い賃金も下がる場合が多い。
諭旨解雇懲戒解雇を若干軽減したもので、通常、退職を促す形式によって労働者に辞表を提出させるもの。退職金の取扱いは、減額・不支給となる場合が多い。
懲戒解雇懲戒処分の中では最も重い処分であり、労働者を企業外に放逐するもの。一般には即時解雇であり、退職金も減額・不支給とされる場合がほとんどである。
  • 制裁・懲戒の効力について、就業規則上に制裁・懲戒に関する根拠規定を設けたとしても、一般に、制裁・懲戒の原因と結果としての制裁・懲戒の程度が合理的なものであるか、社会通念上相当なものであるかなどを判断します。

当該事業場の労働者のすべてに適用される定め

  • この定めには、一般に、旅費に関する事項、試用期間・配置転換・出向・休職に関する事項、福利厚生に関する事項、勤務心得などがあり、これを定める場合には就業規則に記載しなければなりません。


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