医師やパートタイマーも就業規則の適用範囲となるのか?
医師やパートタイマーも就業規則の適用範囲となるのか?
◆「労働者」の定義
労働基準法第9条
- この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
労働契約法第2条
- この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
上記の法律上の定義から、医師であっても、病院に雇われて勤務している勤務医は、労働者とみなされます。
したがって、勤務医は、労働基準法等、また、就業規則の規制を受けることになります。
就業規則は、勤務医を考慮して作成する必要性が生じてきます。
しかし、他のスタッフと同じ就業規則にしてしまうと、非常に煩雑になりかねません。
そこで、勤務医の就業規則は、別途作成することをおすすめします。
非常勤医師(研修医を含む)についても、非常勤医師用の就業規則の作成をおすすめします。
※研修医についても労働者であるとする判例があります(関西医科大学研修医(未払賃金)事件)。
医師が労働者であるという意識は、今まで非常に希薄なものでした。しかし、産科や小児科における医師不足をはじめとした過酷な労働力の提供により過重労働となり、過労死するケースなどが増えてきており、勤務医の労働者性、労働時間などについて紛争が多くなってきています。
したがって、施設において、安全配慮義務をしっかり遵守していくためにも医師の労務管理が非常に大切になってきています。
なお、パートタイマーについても、労働基準法や労働契約法の労働者の定義から当然労働者に該当するものと判断されるので、就業規則の適用範囲に該当します。
正社員用の就業規則にパートタイマーの規定を含めてしまうと、勤務医の場合と同じく煩雑になるので、パートタイマーや契約職員、嘱託職員用は、別途作成した方が分かりやすくなります。