こんな就業規則の規定は危険です!!
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こんな就業規則の規定は危険です!!
就業規則の目的条文に、「この就業規則に規定のない事項については、労働基準法その他の法令による」という規定が入っている。
- 法律には、守らなければならない義務規定もあれば、守るように努力する努力義務もあります。努力義務まですべて守るほど、中小の病院、診療所、介護・福祉施設は余裕があるわけではありません。
- 就業規則の目的条文に上記のような規定が入っていれば、何かトラブルが起こったときに、努力義務を果たしていないと余計な指摘をされかねないので、上記のような条文を削除しておくことをお勧めします!今すぐ、就業規則がどうなっているのか見直してください!
就業規則の適用範囲が明確になっていない。
- 雇用形態が多様化している時代です。非正規従業員が全体の40%を占めるようになっているといわれています。
- 今まで、就業規則を作成するときに、非正規従業員(パートタイマーなど)をあまり意識していなかったと思います。
- 現行の就業規則が、誰を対象にしたものなのか適用範囲を明確にしていないと、非正規従業員に退職金や賞与の支給について請求されたときにトラブルになる可能性があります。
- 就業規則は、必ず適用範囲を明確にするようにしてください!
- 雇用形態ごとに就業規則を作成することをお勧めします!!
身元保証書を必ず提出させる規定になっていない。
- 使用者は、労働者の労働の対価として賃金を支払う義務があります。一方、労働者は、賃金を受け取る代わりに労務の提供を行わなければなりません。
- せっかく採用した従業員が健康でなければ、採用に要した労力がムダになります。
- 正規従業員として採用した従業員が、心身ともに健康であることを身元保証人に保証してもらう必要があります。
- 不景気なため無理に働こうとする人が増えています。心身の健康状態を偽る場合も考えられるので、それらを未然に防止する意味でも身元保証書は必ず提出させるようにすることをお勧めします。
試用期間が1年以上になっている。
- 就業規則に定めた試用期間が1年以上になっていませんか。
- 判例を調べてみると、1年以上の試用期間は、民法90条の公序良俗に反し無効となるとあります。
- 試用期間を延長する場合でも、合計して1年を超えないようにする必要があります。
- 試用期間を延長する場合、就業規則に延長する場合がある旨を規定しておくようにしてください。
「勤続○年未満の従業員の休職期間は3ヶ月」というような休職規定になっている。
- 休職期間の定め方に盲点があります。
- 上記のように、「勤続○年未満の従業員の休職期間は3ヶ月」というような休職規定になっていれば、試用期間中の従業員も休職を与えることになります。
- 試用期間中の従業員にまで、休職を認めるのかよく考える必要があります。
- 試用期間中の従業員について、休職を認めないのであれば、「ただし、試用期間中の者は除く」という一文を入れておくことをお勧めします!
- 精神疾患で休職していた場合、従業員のかかりつけの医師の診断書以外にも、念のため、事業所が指定する医師への受診を義務づけることをおすすめします。
休職期間を満了したときは、「解雇」扱いとしている。
- 休職期間を満了したけれども復帰が困難な場合は、「解雇」ではなく、「当然退職」扱いとする規定にしておくのがトラブル回避で重要となります。
- 「解雇」扱いにすれば、解雇予告または解雇予告手当の支払が必要になる可能性があります。
- 「当然退職」扱いにしておれば、復帰が困難であれば、自動的に退職となります。
「著しく…」「再三…」などの修飾語が使用されている。
- 就業規則の解雇事由に関する規定に、よく「著しく…」「再三…」などの修飾語が使用されている場合があります。この修飾語を使っていると、その修飾語の程度までが労働契約になるので、解雇がより難しくなります。
- たとえば、「勤務態度が著しく不良で業務に耐えられないとき」や「再三注意しても改善の見込みがないとき」等というように、解雇事由を自ら厳格にしてしまっているので、修飾語を使わず、シンプルな文言にしておくことをおすすめします。
始業時刻・終業時刻の定義が不明確
- 実労働時間を明確にする意味でも、始業時刻と終業時刻の定義をしっかりと定めておくことをおすすめします。
- たとえば、「始業時刻とは、所定の就業場所で業務を開始(実作業の開始)する時刻といい、終業時刻とは、業務の終了(実作業の終了)の時刻をいう」というように規定しておくことをお勧めします。
- 従業員のなかには始業時刻までにタイムカードを押せば大丈夫と思っている人もいます。
- 時間管理をしっかりしないと施設の規律が乱れることになりかねません。
原則的に、当日の有給休暇の申請を認めない規定になっていない。
- 就業規則の規定としては、原則として当日の有給休暇の申請を認めないという一文を入れておくことをお勧めします。
- なぜなら、前日に飲み過ぎて二日酔いで勤務できないような場合に有給休暇を与える必要がないからです。
- 従業員は労働力を提供するということが責務です。その責務を全うできないのに有給休暇を与える必要がないからです。
- つまり、あきらかに従業員に非があるような場合まで、有給休暇を与える必要がないような規定にしておくことが重要です。
- 従業員に業務に対する責任感をしっかりもってもらうことが重要です。
昇給の規定だけを定め、減給の規定を定めていない。
- 就業規則のうち、給与規程もしくは賃金規程に、「昇給」という条項を設けているのをよく見ます。
- 「昇給」という規定だけ定めておいて、減給をした場合、トラブルになる可能性があります。
- したがって、減給することを想定した規定とすることをお勧めします。
- なお、条文タイトルを「昇給」とするのではなく、「給与改定」などとしておくとよいでしょう。
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