実務相談Q&A(最低賃金は、すべての事業所)
最低賃金は、すべての事業所、すべての従業員に適用されるのか?
最低賃金は、正社員、パートタイマー、アルバイト、臨時社員、契約社員、嘱託社員などの雇用形態や名称のいかんを問わず、すべての従業員と使用者(事業所)に適用されます。
最低賃金よりも低い賃金を定めた場合、それは無効となり、最低賃金額が適用されることになります。仮に、最低賃金で定められた賃金より低い賃金で従業員と使用者が合意しても、法律により無効とされ、最低賃金額が適用されます。
このような最低賃金についても、憲法第25条の生存権が元になっています。生活していくうえでの必要最低限の賃金を定めているといえるでしょう。
ただし、次の人たちについては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、最低賃金額から労働能力等を考慮して一定率減額した額が、その人に適用される最低賃金となります。
精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
試の試用期間中の者
職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定のもの
軽易な業務に従事する者
断続的労働に従事する者
なぜ、上記の人たちには、最低賃金の減額を認めたのでしょうか。それは、これらの人たちに一律に通常の従業員と同じ最低賃金を適用すれば、かえって、その人たちを採用しなくなってしまうからです。つまり、その人たちの雇用機会を奪いかねないからです。
最低賃金以上の賃金を支払っているかチェックするうえで、賃金から次の4つの賃金を除いたうえでチェックすることになります。
1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
時間外・深夜労働および休日労働に対する割増賃金
精・皆勤手当、通勤手当、家族手当
また、最低賃金は、地域によって最低賃金額が異なります。
平成22年10月以降、現在の地域別最低賃金ですが、
一例として、
- 大阪府…779円
- 奈良県…691円
- 東京都…821円
- 沖縄県…642円
現在、大阪で働いていて、転勤で東京に異動になった場合、東京の最低賃金に満たない場合は、賃金を引き上げる必要があります。